お墓じまいと、100年以上前のお墓の移転工事。御浜町神木の寺院墓地

こんにちは! 三重県・和歌山県南部にてお墓のお仕事をさせていただいております、湊石材店の湊です。御浜町神木のお寺様墓地にて、お墓じまいとお墓の移転工事をお任せいただきましたので、ご紹介いたします。

 

御浜町神木寺院墓地 お墓じまい及びお墓移転

 

県外にお住まいのお客様から、お墓じまいとお墓の移転についてご相談をいただきました。御浜町神木のお寺様の墓地にお墓があり、同じ墓地内でのお墓の移転をお考えでした。

 

こちらがご相談をいただいたお墓です。ずいぶん古いからお参りされてきたお墓がたくさんあり、中には江戸時代からのものもあるようでした。このたびお父様が亡くなられたのですが、実はお父様がご生前にお墓を移したいとおっしゃっていたそうです。お父様は御浜町にお住まいでしたが息子様は県外にお住まいなので、お墓を守っていきやすい形にしたいとのことで、同じ墓地内のよりお参りしやすい場所に、管理しやすい形での移転をご希望でした。

 

印があるのは、たくさんのお墓の中から今回移設するお墓です。後方にあるのが代々のお墓で、右手前はお父様のお兄様にあたる方のお墓だそうです。移設先はこちらよりもコンパクトな敷地になりますので、この二つのお墓のみを移設して今後もお参りされることになりました。お見積りを差し上げて、工事内容のお打ち合わせを重ね、移設工事を行いました。

 

移設完了したお墓です。移設にあたって洗浄し、見違えるようにきれいになりました。

 

代々のお墓を右手に、お父様のお兄様のお墓は左手に配置しました。どちらも移設前の墓地で取り外したあと、一旦工場へ持ち帰ってきれいに洗浄し、文字の色の入れ直しをしてから据え付けました。花立は、以前は焼き物のものを使われていたので、新しく御影石で作成しました。ステンレスの落とし込み式の花筒で、お水の交換も楽です。お墓本体が磨き仕上げではないため、表面はあえて磨かずにサンダー仕上げという方法で仕上げ、違和感がでないようにしました。

 

大阪能勢産の能勢黒石という石で作られたお墓で、建てられて60年が経っています。きれいに洗浄して色を入れ直し、幾分ツヤも戻っています。

 

一番下の台石も移設してきたものです。こちらの地石で、尾鷲や御浜あたりで採れた石だと思います。花立の後ろの穴は、水抜きのための穴です。中に水が入っても排水できるので、清潔を保てます。

 

代々のお墓は、明治45年建立、100年以上が経ったお墓です。地元の砂岩系の石で作られています。100年以上の間に少し傷は入っていましたが、石を傷つけないように丁寧に汚れを落としました。額出しや頭の部分など、丁寧に加工されているのが良く分かるようになりました。

 

台座部分もできる限りきれいに汚れを取りました。側面はノミぎり仕上げといって、平らな面を出すためにノミで叩いて仕上げたものです。当時の職人さんの息遣いを感じるような貴重な手仕事です。

 

今回、土間部分は「グラベル仕上げ」といって、細かい砂利を樹脂で固めた仕上げにしました。雑草が生えにくくなり、しっかり固まっているので落ち葉などもほうきで掃いてお掃除することができます。県外にお住まいの方なので、こまめにお参りに来られなくても管理しやすいようにご提案しました。色合いや粒の大きさは、30から40種類くらいあるサンプルの中から選んでいただきました。

 

お墓の後方には、このような一本立てのシンプルな塔婆立てもご用意しました。

 

移設元のお墓は、このようにお墓じまい工事が完了しました。これで、お墓の移設工事とお墓じまい工事がすべて完了です。

 

きれいでお参りしやすくなったお墓に、お客様にはご満足いただけました。もちろん、移設を機に新しくお墓を建て直すという方法もありますが、代々受け継いできた歴史のあるお墓をきれいにして活用し、これからもお参りしていけるようにすることで、同時にお家の歴史やお墓に対するご先祖様の思いも残すことができるのではないかと思いました。お参りをされるお客様にとっても、受け継いだものが変わらずにあるという安心感があるように思います。受け継ぎながらも、現代の施工技術で管理しやすいお墓にすることができましたので、これからも末永く安心してお参りいただけるようになりました。今後も大切にお参りいただけるとうれしいです。遠方にお住まいのお客様にはなにかとご心配なこともあるかと思いますので、何かございましたらまたお気軽にご連絡くださいませ。