落石で損傷した、熊野市の世界遺産 花の窟神社の巻き石修復工事

こんにちは！ 三重県・和歌山県南部にてお墓のお仕事をさせていただいております、湊石材店の湊です。熊野市の世界遺産 花の窟（いわや）神社にて、巻き石の修復工事をさせていただきましたので、ご紹介いたします！！

 

三重県熊野市 世界遺産 熊野花の窟（いわや）神社 巻石修繕工事
落石で損傷した玉垣・巻き石の修復

 

今回修復工事をさせていただいた、熊野市にある花の窟（いわや）神社は、日本書紀にも記されている日本最古の神社で、平成16年にはこの花の窟を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されています。高さ約４５メートルの巨石そのものがご神体なのですが、先月その一部が崩れ落ちて拝殿が損傷してしまったことから、ご連絡をいただいて修復工事をさせていただきました。当店は、狛犬の設置や修繕などをさせていただいたこともあり、以前からお世話になっている神社です。

 

こちらは、宮司様からお電話をいただいて駆け付けた時の様子です。奥に見えている大きな岩がご神体の巨石で、その手前の巻き石で囲まれた部分は拝殿です。落下した岩は既に取り除かれていましたが、約70～120cmの大きなものが３個も落ちてきたそうです。一度ドンと落ちてから転がったと思われますが、大きめの玉石なども飛び散り、土がえぐれているところもありました。幸い、けがをされた方はいなかったそうです。

 

もともと巻き石の上に木の玉垣があったのですが、それも一部が壊れていたため、現場に到着した時にはすでに取り除かれていました。巻き石の手前側は、衝撃でこのような状態です。いかに大きな岩が落ちてきたか分かります。来月の初めには例大祭が予定されており、それまでにはなんとか下の巻き石部分だけでも修復してほしいとご希望でしたので、急遽スケジュールを調整して工事を行うことになりました。

 

右手前の巻き石は、衝撃で巻き石の下にある石積みからずれて、外側に完全に外れています。土もえぐられて、玉石も周りに飛び散っています。

 

左側面です。こちら側はそれほど損傷がなかったようです。巻き石の上にあるピンは、この上にあった木の玉垣を支えていたものです。

工事としては、まずは損傷した箇所を含むすべての巻き石を取り外しました。当店に在庫としてあった白御影石を寸法に加工し延べ石を作成、石積みの上に設置しました。

 

巻き石の修復工事が完了です！

 

一段の石積みの上に、水平を保って新しい巻き石を設置しました。この右側面の石積み自体が、左側面に比べるとすべて向かって右側に25cmほど沈み込んでいたので、まずは石積み自体を修復し、その上に新しい巻き石を設置しています。中の玉石は、巻き石の周囲1mくらいの範囲だけ、カニクレーンを使って「もっこ」に移して吊って避けておき、巻き石設置後に戻しました。

 

正面、左側面もこの通り修復が完了しました。当店では巻き石設置までを担当し、あとはこの上に玉垣を設置してもらったら拝殿の修復完了です。

 

後日、玉垣の修復竣工祭にも参加させていただき、その様子は新聞でも紹介されました。（きちんとした格好で行かないと…と思ってスーツで臨んだのですが、以外にも皆さん平服でした^^;）氏子の方々１０名ほどと、当店のほかにも修復工事に協力した企業の方々も参列して厳かな竣工祭でした。熊野では、神社はとても大切な場所ですから、今回の被害は皆さん心を痛めておられたと思います。拝殿の修復完了には、どなたもホッとされているようでした。宮司様にも、「早期に修復してもらってありがたかった」とおっしゃっていただけました。急遽いただいた工事でしたが、例大祭にも間に合わせることができて、私どももホッとしております。

今回工事をさせていただいた花の窟神社は、日本最古の神社としてたくさんの参拝者の方が訪れています。拝殿の背後にあるご神体の岩は、下から見上げると本当に圧巻のひとことです！ 「落ちてきた岩のかけらが欲しい」という方もいらっしゃるくらい、地元にも全国にも惹きつけられる方の多いスポットですが、今回は同時に、自然の怖さも感じる出来事でした。それでも、たくさんの方が来られる例大祭までに修復が完了し、安全に参拝いただけるようになったので良かったです。このたびは、当店にお声かけいただきありがとうございました。